K-POPの音楽的特性 : 2.5世代を基点に【日本語訳】

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케이팝의 음악적 특성 : 2.5 세대를 기점으로

K-POPの音楽的特性 : 2.5世代を基点に
by 양소하(ヤンソハ) 2021.01.04


●はじめに

あるジャンルの特性を分析、整理する作業は、もしかしたら難しく不要なものかもしれない。特にK-POPのようなポップジャンルとして規定される、すなわち一定の特性を持たないまま、それが曖昧に存在するジャンル内での特性を規定することは、さらに難しく不要かもしれない。しかし、K-POPが急成長を続けている2021年に入って、私は現在のK-POPが持つ特性を一度整理する作業が必要だと感じた。これは、K-POPというジャンル自体が持つ特性を整理する作業であるだけでなく、そのジャンルが属している巨大な市場全般に対する規定につながり得ると考えた。さらに、急速に成長を続けていくK-POPというジャンルとその市場の特性を整理する作業が必要だとも考えた。そこで、私はこの文を通じて、現在のK-POPというジャンルの持つ音楽的特性を振り返って、これを簡単に概括する作業を続けるつもりだ。

そして、そのような作業に先立って、いくつかの定義すべき要素が存在する。
まず最初に定義しなければならない要素は「K-POP」というジャンルそのものにある。K-POPというジャンル、あるいは単語自体で韓国という国を表す文字「K」とポップジャンルの「Pop」が合成されて作られたもので、そのジャンルを構成する定義は今でも様々な意味が混在して使われている。例えば、Apple Musicのジャンル区分によると、現在、国内ではK-POPと規定されていないことの多い音楽がK-POPに分類されるなどのケースが発生したり、国内でもDAY6、ONEWEなど、K-POP企画会社に所属しているバンド形式のアーティストを、K-POPと規定できるかについての議論が起きたりする。
したがってこの文章では、K-POPについてより確かな定義を規定した後その説明を続けるべきである。私がこの文で扱おうとするK-POPの主な定義は「ダンス音楽を基盤とするアイドルグループ、ソロアーティストのポップミュージック」と整理することができるだろう。

また、続いて定義すべき要素としては、タイトルから登場するK-POPの世代論に対する観点にある。K-POPを世代論的観点から分類する作業は、K-POPがより大きな市場への成長を成し遂げた2000年代からよく行われてきたもので、現在ではより速い成長の速度によって、その世代の分類がより曖昧になっている。
私は本コラムで借用する世代論的分類方式を「アイドロジー(idology)に掲載されたスクイップの定義」(http://idology.kr/13070)を通じて続けていこうと思う。これは当該分類方式が持つ正当性に大きく同意するだけでなく、それが分類する世代論の観点が私の観点と最も近いからだ。もちろん、該当文で提示される分類法に比べて、本コラムで扱おうとする世代論の分類法はそれが含んでいるK-POPの要素が著しく少なく、それによって前の文と完全に同じアプローチを取ることはないだろう。しかし、その基盤にある根源的な観点からは、スクイップの分類を基準に文を作成したことを再度明示する。そして私は、前述した2つの定義、すなわちK-POPというジャンル自体の定義と、K-POPを分類する世代論的観点の定義をこのように規定した後、本格的な概括を始めようと思う。


●なぜ2.5世代以降のK-POPなのか?

しばしば2.5世代のK-POPに分類される、2000年代後半のデビューグループから始まる世代のK-POPは、事後的な視線から見て、現在のK-POPの根源となる最も近い基盤として位置づけられている。例えば、2.5世代に入り、K-POPはそれまでのメインステージであった国内や東アジア市場を超えて世界中の音楽市場へと手を伸ばし始めた。このような成長の勢いの加速に伴い、同時にK-POPというジャンルの持つ音楽的クオリティとその特性は発展を重ねることになる。現在のK-POPで活用されるエレクトロニックジャンルの導入の基底を示したSHINee、f(x)等のグループも2.5世代に分類されている。また、第2世代に入り、K-POPが特定のファンダムが享受するジャンルを越えて全国民が楽しむジャンルに跳躍し、これに伴って発生した多様な現象、例えばファンダムの発展とK-POP市場全般の量的成長などの現象が2.5世代に入ってより確実に定着し始めた。それと共に、成長する市場に足並みを揃えて多様な音楽、企画的試みが行われた点も特記に値する。
このように、2.5世代のK-POPは市場の規模、音楽企画面での発展などを筆頭に、様々な部分で現在のK-POP市場の根源となる要素を定着させた大きな基盤に残った。そのため、私は2.5世代以降の、よりはっきりした規定を受け始めたK-POPの音楽的特性を探求することを決めた。また、そのような音楽的特性を探求するにあたって、合わせて3つの要素を基準に、それを二分しているK-POPの音楽的特性を例示とともに取り上げるつもりだ。
また、この記事では2.5世代以前のK-POPと現在のK-POPを比較、分析する作業よりは、2.5世代以後のK-POPにもっと焦点を合わせ、それによる特性を整理する作業が続く予定だ。したがって、本コラムを書くにあたって2.5世代を中心的な基準にしてはいるが、それ以前と以後のK-POPを二分して対照することでそれぞれの特性を整理するよりは、2.5世代を基準により確固としたK-POPの特性を整理して議論を展開することをもう一度強調する。

 

●2.5世代以降のK-POPの音楽的特性⑴ - ストーリーテリング

まず、2.5世代以降のK-POPの音楽的特性として語ることができるのは、ストーリーテリングだ。ストーリーテリングはただ一つの要素ではなく、K-POPが企画と音楽を通じて実現しようとする多様な特性を含んでいる。 特にストーリーテリングは、K-POPの音楽内で、叙事(서사)とコンセプトという2つの要素で具現されたりする。 
まず、叙事という要素に集中してみると、叙事は主に「音楽的キャリア内での連続作」と同じ意味で扱われることもある。 例えば、BTSの「花様年華」、「LOVE YOURSELF」とGFRIENDの「学校」、IZ*ONEの「花」3部作などは、簡単に思い浮かべるK-POPでの音楽的敍事の事例に当たる。
このように叙事というストーリーテリングの要素は、"特定のグループが自分のキャリア内で特定のテーマと素材を中心に連続的な属性を持った作品を相次いで発表する"という特徴とかみ合う。

そして、このような叙事はK-POPが音楽を通じて提示することができるストーリーテリングの側面において、より細密な、あるいはより巨大な話の枠組みを持つことができるという点で利点を持つ。また、その巨大な枠組みの中で特定のテーマと素材を中心に多様な音楽的、あるいは企画的試みを遂行できるという点もやはり叙事という特性が持てる強みに当たる。
このように、K-POPストーリーテリングが含有する特性のうち、叙事という要素は通常、デビュー後キャリアを展開していく上で遂行される作業であり、彼らが具現しようとするナラティブをより大きく、あるいは多様に遂行できるという点で、現在もよく活用される要素でもある。

 

叙事という特性が主にアーティストのキャリアに基づいたまま行われる要素だとすれば、コンセプトはより短期的、あるいは非常に長期的に行われるストーリーテリングの要素だ。コンセプトという要素は主に二つに分けて遂行される。一つ目は特定作品に限定されるコンセプトで、二つ目はアーティストが完全に含有するコンセプトに分けて見ることができる。

例えば、最初のケースは以前のK-POPからよく活用され、現在も主に活用されるコンセプトの活用方法だ。例えば、清涼感を筆頭に快活なイメージを披露したデビュー初期のSEVENTEENのコンセプトや、夢幻的な雰囲気のサウンドと歌詞で神秘的な姿を披露したOH MY GIRLの作品などが例として挙げられるだろう。もちろん、このように特定の雰囲気、スタイルだけで構成されるコンセプトだけでなく、特定のテーマや素材を通じて作品を作り出す場合もある。チアリーダーという素材を通じて慰めと励ましのメッセージが持つ特徴を浮き彫りにしたTWICEの「Cheer Up」を代表的な例として挙げることができるだろう。このようにコンセプトは特定の作品内でその作品が持てる雰囲気やスタイルなどを確実に作り出すことも、またその作品が披露しようとする要素をさらに浮き彫りにする方向で活用されることもある。

特定のアーティストが自分だけのコンセプトを持つようになるきっかけには、主に2つあるだろう。第一に「世界観」という存在にある。EXOをはじめとし、K-POP市場内に深く根ざした世界観という企画方式は、アーティスト自体が持つスタイルを確固たるものにするだけでなく、様々なストーリーとナラティブを含んで披露できるという点で、現在まで様々な方面で活用されている。 例えば、DREAM CATCHERの場合、「悪夢」という素材を中心とした世界観を筆頭に、これに似合う暗い雰囲気のロックを中心とした音楽を披露し、市場内で独特な地位を固めた。また、LOONAの場合、Loonaverse(루나버스)という彼女らだけの巨大ながらも細密な世界観を構築し、それを音楽と企画の多様な方面で具現したりもした。特にLOONAの場合にはアーティストの世界観を多様な分野で、例えば作品のコンセプトとサウンド、歌詞、ミュージックビデオなどの方面で具現化し、彼女らの世界観を通じて聴者とファンにもっと多様な楽しさをプレゼントしたりもした。このように世界観という企画方式は、特定のアーティストに確固たるコンセプトを定着させ、アーティストとして持てるスタイルをしっかりと構築する。また、これを通じて実現できる様々な話を通して、聴者とファンにひとつの遊びの種をプレゼントする。すなわち、多様な価値を含む方法として活用されている。

このような世界観に続き、アーティストがコンセプトを持つようになる2番目の方法としては、アーティストに特定のスタイルを付与する方法に整理することができるだろう。ここでのスタイルとは、音楽的にも企画的にも与えられる特定のテーマ、あるいは雰囲気を意味する。

例えばRed Velvetは、強烈な印象のレッドと柔らかな印象のベルベットという2つのコンセプトに分け、自身のキャリアを展開させる方式を選んだ。特にRed Velvetは、彼女らが持っている2つのコンセプトを確実な音楽的特色で具現し、これを刻印させた。例えば、レッドコンセプトでは乱雑で強烈なダンス音楽を、ベルベットコンセプトでは繊細で柔らかいR&B風の音楽を披露し、彼女らが持っている二つのコンセプトを音楽内で積極的に活用した。

このようにコンセプトというストーリーテリングの要素は、時には作品内に、時にはアーティスト全般にわたる要素として存在し、それを通じて見せることができる多彩な音楽的スタイルを作り出すのに役立っている。


大まかに把握できる歌詞とコンセプトという主要な2つの要素からなるK-POPストーリーテリングという特性は、2.5世代以降のK-POPにおいてより重要な特性として扱われている。何よりも、第3世代の始まりにあるEXOから派生した"世界観"という企画方式、あるいはさらに普遍化した"コンセプトと叙事"という企画方式は、アーティスト、あるいは特定の作品が持つナラティブとスタイルをより明確にすることで、音楽が持つ作品性とこれを聞く聴者とファンが楽しめる要素をより多彩にすることができるという点から、市場内でより重要な要素として考えられている。

しかし、K-POPというジャンルの音楽の中で、ストーリーテリングという特性が必ずしも伴わなければならないわけではない。例えば、NCTの場合「無限開放、無限拡張」というコンセプトを持っているが、これは企画的な側面だけで彼らのコンセプトが音楽に及ぼす影響は少ないと見ることができる。

また、Stray Kidsの場合、自主的に音楽を制作するアイドルという独特の特徴と彼らだけの明確な音楽的色彩を持っているが、これは特定のストーリーテリング的要素を伴っていると見ることは難しい。このようにストーリーテリングは、K-POPの音楽内で活用されないこともあり、必ずしもその有無が作品性や興行の有無に関与するとは言い難い。
しかし、ストーリーテリングは、2.5世代以降、K-POPの要素の中でも確かに重要に扱われる要素であり、それが持つ肯定的な特徴が多いため、現在までもK-POPの音楽や企画過程において、よく、そして重要に思われる特性として残る。


●2.5世代以降のK-POPの音楽的特性⑵ - ダイナミック

K-POPのダイナミックについて話す前に、それが登場するようになった発端について先に話す必要があるだろう。前述した第2世代のK-POPが、特定のファンダムの享受を超え、全国民から愛されるジャンルになれた最大の理由の一つは、フックソングの浮上にあっただろう。実際に当該時期に発売された数多くのフックソングの存在だけでなく、当該時期にフック現象およびK-POP内のフックソングに関する研究が数多く行われたこともまた、その現象を立証する重要な手がかりとなるであろう。

何人かの研究者の言葉を借りれば、カン·ヒョングとコ·フンジュンは当時、K-POPの重要な音楽的特性としてフックの要素を挙げ、ワンダーガールズの「Tell Me」以降すべてのアイドルグループがフックソングを基本とする音楽を使うとした。このようなフックソングの特徴に対し、イ·ナンスは短くて魅力的なサビの繰り返し、率直で簡潔な歌詞、華やかな群舞、豊かなサウンドなどを挙挙げている。さらに、より詳しい研究を遂行したチョン·チャンジュン、チェ·ソンヨン、ペ·ミョンジンは44拍子、平均123bpm、平均41%の反復句比率、平均31秒の反復句開始時間などを、ヤン·ジョンモとキム·ジンはリズミカルな速いテンポ、1~2 つのコードパターンの繰り返し、同型進行等の特徴を示した。このように、当時様々な方面で研究が行われたフックソングの存在は、K-POP市場内で非常に強力な役割を果たしていたことは確かだった。

しかしそれでも、その有効性についての議論は引き続き高まった。特に、その当時蔓延していたフックソングの登場とK-POPの量的成長があいまって、次々と出てくるフックソングへの大衆の不満は日増しに激しくなり、結局、2.5世代に入りK-POP市場の解決課題の一つは、このようなフックソングの単純さやこれへの不満を脱することが決まった。そして、このようなフックソングの問題点を解決する方法として、多くのアーティストと企画会社が選んだ方式は、多様な要素の結合を通じて躍動性を、すなわちダイナミックさを提供する方向であった。


ここで様々な要素は、音楽のジャンルにも展開構造や曲の楽曲構成にもなり得る。 そのように本当に「多様な」要素が1つの音楽に含蓄されながら、2.5世代以降、特に第3世代のK-POPが持つ多彩な特性を中心に躍動性を提供することで、以前存在したフックソングの単純さという問題から脱皮しようと努力した。

例えばRed Velvetの場合を見てみよう。Red Velvetは、そのグループが持つ二つのコンセプトのうち、特にダンス音楽、エレクトロニックジャンルを消化するレッドコンセプトにおいて、様々な躍動性を見せている。しかし、これは時には乱雑なほど繰り返される反復句の登場にもなり(「Dumb Dumb」「Rookie」)、または非常に独特な展開方法と曲の構成により(「Ice Cream Cake」「짐살라빔(Zimzalabim)」)、遂行された。

また、最近の事例を見てもこのような傾向が続いていることが分かる。シグネチャーの「문무나마 (Nun Nu Nan Na)」の場合、それが持つ楽曲の多様性とボーカルの快活さ、高歴代と低歴代の衝突などを通じてはっきりした躍動性を生み出している。

Stray Kidsの「神메뉴(God's Menu)」は「麻辣味」という新しいスタイルを具現化すると同時に、それを筆頭に、鋭く強烈なサウンドの存在とそれに続く変奏、メンバーたちのラップとボーカル、そしてサビパートのサウンドの食い違った調和などを通じて、トラック内で引き続き登場するダイナミックな構成を披露した。

このように、K-POPの音楽の中で「ダイナミックさ」という要素は現在に入って、より重要な要素として定着しており、それが届ける刺激と独特な楽しさは、K-POPならではの独特な音楽的特徴として定着している。特に、昔からの様々なエレクトロニックやR&B、ヒップホップなどのジャンルを取り入れたK-POPの歴史に沿って、現在では一つの曲の中で様々なジャンルがかみ合って登場することもよく活用されている。サビ以降、突然のトラップビートの登場によってラップパートを挿入する方式は、今では数え切れないほど多くの事例が存在し、強烈なヒップホップ、あるいはエレクトロニックビートと柔らかいR&B風のメロディが重なり、そのような落差を通じて躍動性を再現する場合もある。

そのして第3世代以降、特に2010年代後半に入ってさらに激しくなっているK-POPのダイナミックさは、フックソングの単純さから脱却するという理由を皮切りに、それだけが届けられる面白さを含んでいるという点で、様々な方法でその活用性を広げている。


しかし、前述のストーリーテリングと同様に、K-POPのダイナミックさも同様に、ジャンルの音楽で必ず行われるべき要素として存在すらわけではない。むしろ、K-POPのダイナミックさとは逆の、滑らかで流麗な進行を通じて興行に成功したり、より多くの大衆の人気を得る場合も存在する。

例えば現在自他ともに認める最大の興行を記録したBTSがその重要な例になるだろう。 以前から、BTSは彼らの曲内でK-POPな躍動性を見せるよりも、流麗な進行と(???)の存在によってかなり人気を得てきたが、たとえば「불타오르네(Fire)」の場合、典型的なエレクトロニックトラップジャンルの文法に従うと同時に、強烈なドロップパートを中心に華麗な展開を披露するトラックで、確かにトラック内に躍動性が存在しているが、それはエレクトロニックトラップジャンルの根本的なダイナミズムとして存在するだけであり、K-POPのダイナミズムと同一であると見ることは難しい。彼らの英米進出への本格的な歩みとなった「DNA」も滑らかなダンスポップの展開とドロップパートの強烈なシンセサイザーの存在が目立ちはするが、これもやはりK-POPのダイナミズムとはかなり異なる方向への進展を示したと見られる。

また、似たようなケースとしてBLACKPINKの場合が挙げられる。BLACKPINKにおいても、「휘파람(WHISTLE)」「불장난(PLAYING WITH FIRE)」「DDU-DU-DDU-DU-DU」などのトラックから、よりエレクトロニックポップな流麗な展開と強烈なドロップパートなどを中心に多くの人気を博している。

あるいはこれと逆の例も存在するが、特にメロディを中心とする場合がそうである。主にガールズグループの間で発見されるこのような場合は、メロディーの流麗な進行のためにその躍動性を放棄する方法を主に活用する。OH MY GIRLの場合「Closer」などのトラックを通じてより夢幻的なメロディーを中心に活用し、躍動性よりは流麗で繊細な展開を曲の主な構成方法としている。

Lovelyzも「Destiny」、「그 시절 우리가 사랑했던 우리(Beautiful Days)」などのトラックを通して、よりメロディーを中心にした曲の構成を披露している。このようにメロディーを主な要素に活用するグループとトラックの場合も、先に説明したK-POPの躍動性とは逆の特性を持っていることが分かる。

しかし、このような方式、例えば、(???)とポップスの滑らかさを重視する場合と、メロディの流麗な展開を活用する方式においても、彼らが目指すところが以前の単純さから脱皮し、より華やかな面白さを提供しようとする、すなわちK-POPのダイナミズムが発現した理由に合致するため、これらも2.5世代以降のK-POPが目指すところのような方向へと発展していることが分かる。

 

●2.5世代以降のK-POPの音楽的特性⑶ - ボーカル運用

単に複数の人員で運営されるグループであれば、そのグループの様々な声を運用する作業は必ず行われるべきである。K-POPは以前から主に4人以上のグループで存在しており、そうしたメンバー同士のボーカルとラップなどを運用する方式も以前から必ず存在してきたと言える。しかし、こうしたボーカル運用の重要性は2.5世代に入ってさらに浮き彫りになった。

その理由には、単にK-POPの音楽とその市場だけでは説明できない数多くの原因が存在したはずであり、それは特にメディアの方向性と適合すると考える。2.5世代前までのK-POPは、その当時のメディア環境と簡単に結びついており、特にTVと放送局という巨大なメディアの下で運営されていたK-POPグループの場合、個々人の特性が非常に強調されていたと言える。もちろん、そのような個人の特性は、単に音楽に限らず、芸能、演技などでもその手を伸ばし、音楽内においても重要な要素として活用された。 実際、その頃のほとんどのグループには「ポジション」というものが存在し、それは前述の音楽、演技、芸能などに分かれたり、あるいは音楽内でメインボーカル、サブボーカル、メインラッパー、リードダンサーなどの役割に分かれていたりした。音楽の中でやはり個人の特性が強調されているが、それは単にメンバーたちの個性が強く作用しているという点だけでなく、より明確なボーカルとラップ等の結合や和声等の調和の瞬間があまり登場しなかったという点からもその事例を窺うことができる。

このように個々人の特性がより強調されていた以前のK-POPに比べて、2.5世代以降のK-POPに立ち入る様々な要因により、例えばニューメディアの成長によって変わってしまった媒体の影響と多人数グループの普遍化、K-POP市場の世界的な成長などの要因により、K-POP内での特性も個人からチームにその中心が移り始めた。 

例えば近い例として、現在のK-POPグループでの「ポジション」という要素は大きく重要でない要素に転落している。かつて存在していた固定ポジションの定義を離れ、さまざまな役割を果たすメンバーが増えたこともあり、かつては存在した「リーダー」の存在が色あせたこともある。また、一つのグループに多数のメインダンサー、メインラッパー、メインボーカルなどが存在し、より多彩で高いレベルの音楽を披露することもできた。

このように、現在のK-POPに入ってからは、個々人の特性と個性を生かしたポジションという存在が色あせると同時に、これを強調するよりはメンバーの組み合わせを重視する傾向が強くなった。


そのようにチームとしての比重がますます大きくなるにつれて、K-POPの音楽的特性である「グループ」という存在性を証明する複数のメンバーの声を運用する方式はもっと多様になった。 特にそのようなボーカル運用がK-POPに活用されるにあたっては、以前から存在するR&B式のボーカル運用方式、すなわち和声を中心としたボーカルの結合方式が主な方法として採用された。

例えばEXOの場合、優れたメインボーカルが多数存在し、多くの人たちのボーカルを一曲に盛り込むにあたって、和声を主導的に活用する方式を選んだ。これは「Call Me Baby」と「Tempo」で際立つアカペラ形式のパートでも主に活用され、「Love Me Right」、「Monster」、「Ko Ko Bop」など、その音楽のコンセプトとスタイルがはっきりとしたトラックの中でも、特徴を持つ。

あるいはRed Velvetもこのようなボーカル運用が目立つグループの一つである。特に彼女らのR&B的要素が目立つベルベットコンセプトの場合において、「Bad Boy」、「Automatic」等のトラックでは、そのR&B風のボーカルを活用して多彩な和声とボーカル、ラップの運用等を通じて彼らのボーカルを確実なR&B式のボーカル運用方式に昇華した。 

またLOONAにおいても、彼女らのボーカル運用が重要になっているグループとして、様々なユニットとソロ活動などをベースにしたボーカル運用を行なっている。彼女らの完全体活動である「Butterfly」、「Cuiorsity」等においても、多人数メンバーの声を適材適所に活用し、また彼らの特性に応じて多彩な音域帯を満たす等により、効果的なボーカル運用を見せている。さらに、ONFの場合も「사랑하게 될 거야(We Must Love)」、「신세계(New World)」などのトラックを通じて、様々なメンバーたちのボーカルとラップがそれぞれの役割を確実に果たしている。それと同時に、各自の魅力をはっきりと見せながら彼らの優れたボーカルラップ的力量を披露したりもした。 

このように2.5世代以降のK-POPにおいて、多くのメンバーとダイナミズムを中心としたK-POPの音楽内でメンバーのボーカルを効果的に運用することはとても重要な特徴となっており、特に適材適所に各メンバーのボーカルを配置する作業はK-POPのボーカル運用方式の中でも最も重要な位置を占めるようになった。

 

●おわりに

私は先立って、2.5世代以降のK-POPの音楽で主として位置づけられる特性であるストーリーテリング、ダイナミック、ボーカル運用について説明した。もちろん序論で述べたように、音楽の特定ジャンルを、特にポップジャンルに分類されるK-POPに対する音楽的特性を分類して定義する作業はとても難しく、もしかしたら必要ない作業かも知れない。しかし、K-POPの歴史が徐々に長くなり、彼らの作業物が積もり、次第に確実になっている音楽的特性を整理する作業は、確かに今必要な作業だと考えており、かつてのK-POPを振り返ると同時に、その後のK-POPを予見できることだと考えた。

2.5世代を基点に、現在のK-POPを重要に支える3つの音楽的特徴であるストーリーテリング、ダイナミズム、ボーカル運用は引き続きK-POPの音楽を区別する重要な要素として位置づけられ、これと共にそれらは絶え間ない発展を続けるだろう。特にK-POPが国内市場とアジア市場を越え、英米圏市場を越え、全世界に広がっている現在において、K-POPを少しでも規定して整理する作業は必ず必要だと思った。そのため、私はこの文で整理した3つの特性を中心に、より多様なK-POPの特徴を整理する作業を要求している。またそのような特性を分析することを筆頭に、K-POPに対する視線がさらに多角化し、これを通じてK-POPがさらに発展できるきっかけになればという願いを込めてこの文を締めくくる。