“隠れて聴く名曲”、“儒教ガール”… ウェブバラエティ「文明特急」はどのようにしてミレニアルの流行になったのか【日本語訳】

news.khan.co.kr

‘숨듣명’ ‘유교걸’…웹예능 ‘문명특급’은 어떻게 밀레니얼 대세가 되었나

“隠れて聴く名曲”、“儒教ガール”… ウェブバラエティ「文明特急」はどのようにしてミレニアルの流行になったのか

by 이유진 기자(イユジン記者) 2020.09.26

 

YouTubeウェブバラエティ「文明特急」を作ったイ・ウンジェ、ホン・ミンギPD

●ミレニアル世代の日常に集中する“隠れて聴く名曲”、“儒教ガール”これが“新文物”

「外では知らないふりをするけれど、家では真似して踊ってみたあの歌!」「カンサート(カン*+コンサート)を開いてください」

<文明特急>の司会者イ・ウンジェPDが、5月4日に公開したYouTube動画で話した言葉だ。

*깡(カン)… 懐かしさ、素朴さ

 

MBC <遊ぶなら何する?>が「GANG」のヨクジュヘン*現象を扱いながらRainを呼んだとすれば、“隠れて聴く名曲(スムドゥンミョン*)”として先にRainを呼んでいた番組が<文明特急>だ。

*역주행(ヨクジュヘン)… 直訳は「逆走行」。転じて、音楽や映画が再ヒット、再ブレイクすること。韓国では、Rainの「GANG」が再流行している。

*숨듣명(スムドゥンミョン)… 숨어 듣는 명곡(隠れて聴く名曲)の略。

 

2018年2月、SBSの<SUBUSU NEWS>の1コーナーとしてスタートした。

世代共感トーク番組“再会した世代”シリーズを経て、“隠れて聴く名曲”シリーズが人気を集めるにつれ、昨年7月にYouTubeに独立チャンネルを開設した。<文明特急>の購読者数は24日基準で80万人で、1年でSUBUSU NEWS(59万人)を追い越した。

イ・ウンジェ(30)、ホン・ミンジ(28)PDがコーナーを始めた時は想像もできなかったことだった。

 

<文明特急>のスローガンは「グローバル新文物伝播プロジェクト」だ。ミレニアル世代の日常と関心事から題材を探った。

最初のエピソード「ジェジェの非婚式」は非婚主義者は祝儀をどう返してもらえるかという悩みから始まった。頭髪自由化に反対する国会議員・保護者代表を回りながら討論を行うこともあった。

10代20代の日常を才気に満ちた企画で紐解くという評価を受けた。

 

家父長的な環境で育った女性たちが自嘲的に使う新造語“儒教ガール”を流行させたのも<文明特急>だ。

今年1月に歌手イ・ヒョリのヒット曲「U-Go-Girl」を改詞したパロディ“儒教ガール”を発表した。

「私は長女だけど、財産相続は弟のところに行くって?ダメ!」というナレーションが圧巻だった。

 

“ジェジェ”と呼ばれるイPDの人気は芸能人に劣らない。「ヨンバニン*」(芸能人と一般人の合成語)というニックネームが付けられ、アイドルグループに対する格別な態度で話題になった。

*연반인… 연예인(芸能人)と일반인(一般人)を合わせた造語。

実際、踊ったり歌ったりしても無理に一発芸を求めず、プライバシーや敏感なテーマには触れなかった。

 

「SBSが出した息子」と呼ばれた<文明特急>は、秋夕特集パイロットとして地上波テレビに進出する。

芸能界で最も忙しい2人、イPDとホンPDと、今月14日SBS木洞社屋で会った。

 

“90年代生まれの私たちが企画・素材を決める… 18-24世代の共感を得ました。”

アイドルも専門職で感情労働者… 楽な雰囲気を作るので、 楽しく撮りましょう
撮影時でも“人間対人間”に配慮… 戻ってくるのはコンテンツの人気です

 インタビュー前に写真撮影を先に進めた。カメラの前に立つことに慣れているイPDが、余裕を見せながら絶えずポーズを変えた。

「ジェジェ本当にすごい」ホンPDの反応にイPDが応える。撮影場所の社屋13階の廊下が2人の笑い声でいっぱいになった。撮影中ずっと冗談を交わした。

忙しい日程のため許された時間は1時間。腕時計を見ながら時間を確認したイPDが「準備できました」と言いながら記者を促した。本格的なインタビューに入ると、冗談は消えた。真剣かつ落ち着いた姿勢で企画力の源泉などを説明した。追加電話インタビュー(18日)も反映してまとめた。

 

●今まで見たことがない、それ自体が新文物

−「儒教ガール」が人気を集めてから、「K長女*」という言葉が流行ったじゃないですか。

*K-장녀… Koreaの頭文字「K」と長女を意味する「장녀」を取って合成した流行語。長男に求められる責任感と、伝統的な家父長的社会の下で求められる女性の役割の両方を課せられる。

【参考】'큰딸은 살림 밑천' 아직도 이 말을 듣고 살아?…'K-장녀'를 거부합니다-아시아경제

 

イ・ウンジェ(以下イ)= (ホンPDを見ながら)“儒教ガール”が最近大学の講義にも出ているの知ってる?“儒教ガール”の始まりは、会社に戻る車の中で、ミンギ(ホンPD)が投じた「私も長女だけど、従兄弟が財産相続を受けていた」という一言でした。私は次女ですが、周りに弟がいる姉が特に多いです。名節が来ると、そういうことに悔しさでいらいらします。“儒教ガール”のナレーションは、ミンギと知人たちの経験談から生まれました。

ホン・ミンギ(以下ホン)= これが本当のアイテムです。私が祖母に送るメッセージを歌で表現したものでもあります。チームの強みは、素材や企画決定権者が私たちだということです。経験談を語ることは誰でもできますが、コンテンツ素材として採用されることは容易ではありません。私たちの場合は、私たちがやると決定するだけです。<文明特急>が、18-24世代から共感を得たのは、この部分が重要だったと思います。ほとんどの組織では90年代生まれが決定権者ではないじゃないですか。

 

− コンテンツ素材の決定権は最初から与えられたものですか。

イ= 当然、最初からあったわけではありません。アイテムを持っていくと、 チーム長が苦労することが多かったんです。それでも私たちを新しく見て、たくさん受け入れてくださいました。そのおかげで、今まで続けることができたと思います。

 

「隠れて聴く名曲」も日常からアイデアを得た。オンラインコミュニティなどを中心に「働きながら気軽に聴く歌謡」という意味の“労働歌(노동요)”の母音が流行していた時期だった。

労働歌が溢れている中で、クァンヒらが属していたグループZE:Aが歌った曲「Mazeltov」を発見した。「ラテンガール」「メキシカンガール」「コリアンガール」「ジャパンガール」など一見理解しがたい歌詞が出てきたこの歌は、2010年の発表ではヒットしなかった。

 

ZE:Aのメンバー、ハ・ミヌと「Mazeltov」の作曲作詞家ハン・サンウォンに直接会い、歌詞の意味について尋ねた。ハ・ミヌは「曲を初めて聞いてみて、プロモーションビデオの撮影現場で涙を流した」と裏話を伝え、ハン・サンウォン作曲家は「メンバーたちに申し訳ない」と冷や汗をかいた。

曲を記憶する人々には思い出を、そうでない人々にはそれ自体で新鮮さを与えるコンテンツだった。

 

その後、Code Schoolの「Bbiribbom Bberibbom」(2010)、ナルシャの「ピリパパ」(2010)、F-ve Dollsの「あれやこれや」(2011)、Rainの「GANG」(2017)など、今のK-POPの土台となった、幼稚だが感情に率直で堂々とした歌詞の曲を続々と発掘し、水面上に「クルオル*」する(引き上げる)。

*끌올(クルオル)… 끌어 올린다(引き上げる)という言葉を短くした新造語。

 

下手すれば、歌や歌手に対する戯画または嘲弄につながる危険もあったが、<文明特急>は“一線”を超えなかった。

第一に、おもしろくなければ笑う必要はない。第二に、無理な要求なら断る。第三に、アイドルを専門職業人として待遇する。3つの原則を掲げた。

大手アイドル事務所が先にコラボレーションを要請し、アイドルファンが歌手に<文明特急>への出演を提案するという珍しい現象は、こうした原則のおかげで可能になった。

 

− <文明特急>はアイドルを専門職として扱うと言いました。会社員として感情移入したと聞いたのですが。

ホン= はい、そうです。とても(感情)移入しました。頑張った成果物をきちんと評価してもらえない時や、成果として認められない時、悔しいじゃないですか。アイドルも会社員で言えば、アルバムが一種の成果物です。ダンスの練習もどれほど頑張ったことでしょう。ところが、行く先々で愛嬌を見せてほしいという要求だけ受け、理想のタイプは誰か、彼氏はいるかという質問がまず出るのです。これは本当に悔しいことです。そのような場所で、私たちの番組ではこんな質問、こんな要求はしないでおこう。チームメンバー全員が共感しました。

 

−「惻隠(そくいん)の情*」を感じたのですね。

*측은지심(惻隠之心)… 韓国文化特有の言葉で、同情やあわれみに近いが、ただ同情するのではなく、他人の苦痛を理解し、手助けしようとする思いやりの心のようなもの。

 

ホン= それは違います。哀れではありませんでした。だって、私たちが一番哀れなんです。

イ= そうです。私たちが一番哀れです(笑)だから、ゲストを高圧的な態度もなく接することができました。「やってみろ」こういう気持ちは全くありませんから。

ホン= 私たちの番組では、感情労働はジェジェが直接します。

イ= アイドルメンバーたちと目が合うと、「大変ですよね?私たちの人生がそうですね」と笑って乗り越えます。

 

ホンPDは自身のブログに「90年生まれはプロブルピョンロ*という修飾語を作った栄光の初世代だ。私たちのように嫌なことを嫌だと言う後輩に背を向けないようにしよう。最後に私たちが怒っていた大人たちの姿を絶対に忘れないように」と書いた。このような心構えが番組制作にもそのまま投影された。

*프로볼변러(プロブルピョンロ)… 直訳は「プロ不便者」で、無駄にケチをつける人を皮肉った言葉。프로(プロ)、불편(気まずい)、러(〜する人)の合成語。

 

ポータルサイトで「プロブルピョンロ」を検索すると、「すべてのことに敏感で、何でもないことでも否定的な世論を形成し論争を煽る、普通とは違う人」という説明が出てきますよね。ホンPDは、プロブルピョンロであることを誇らしく思うべきだと言いました。

ホン= 学生時代、先生たちとものすごく争ったんです。中学校の時、出席簿の名前の横に住所を書くんですよ。町の特性上、賃貸マンションに住んでいる友人が多かったのですが、住所を見た後、彼らに対する人々の態度が変わるのを見ました。私は学校に住所記入欄をなくすべきだと要求しました。でも、無くならなかったんですよね。それで、全てのクラスを回りながらナイフで出席簿を破りました。学生部に連れて行かれてすごく怒られたけど、私が悪かったとは思いません。最近、母が急にこんなことを言いました。以前は、なぜじっとせず、ことあるごとに不満が多いのかと思っていたけれど、今考えてみると、私が正しかった。最近も、結婚式場で新婦が、いくら夫と喧嘩しても朝ごはんを必ず作ってあげるという“誓約”をすると憤慨しています。式場では誰も同調してくれないのに、私たちのチームに来るとみんな「おかしいんじゃないの?」と言って私に相槌を打つんです。 ああ、私たちはこんな人たちが集まるようになってしまったんだな。

イ= 大学生の時は「自炊をして、よく酔う」という冗談を気兼ねなく言いながら遊んでいました。面白い冗談だと思って笑って楽しんで消費する人でした。ある瞬間にこのようなことは間違っていると気づきました。完璧な人はいないので、些細な失言をしたのではないか絶えず自己検閲をします。たまに過剰に検閲をしているのではないかと思うこともありますが、検閲しないよりは激しく検閲したほうがいいと思うんですよ。女性はもちろん、若くて、社会問題に関心のある人が多い職場なので、私はむしろ同僚たちを見ながら学ぶことが多いです。

ホン= 気まずさ(居心地の悪さ)と面白さは違う領域だと思います。気楽でありながらも充分に面白い番組を作ることができます。

 

− あるアイドルマネージャーが「マネージャーとして働く10年間で、こんなに楽な撮影は初めて」と話していました。 <文明特急>が特別に楽な現場になった他の理由はあるのでしょうか。

ホン= 相対的に自由な雰囲気です。本来、撮影現場ではスタッフのリアクションが大きいと音声がかみ合うと言って静かにさせます。私も最初はそういうふうに習いました。演出者になってみたら、現場で(スタッフが)笑うのを無理に笑うなと言われることがおかしな話でした。制作陣と出演者として会うには会うけれど、“初対面”の人たちが集まった席じゃないですか。一緒に笑ったり感情表現もできると思います。笑い声が大きすぎるなら、編集時の声を少し下げればいいんです。人間対人間として気楽に接することができるように配慮しようと思いました。

 

− アイドルグループにたくさん会って感じたことがあると聞きましたが。

イ= 業界とアイドルの間の甲乙関係*は確固たるものです。(アイドルの方は)会った時に過剰に挨拶をしたり、過剰に明るい方たちが多かったです。最初は性格が良い方が多いと思いました。しかし、芸能界で働く人に多く会って、彼らがどんな環境で働いているのかを直接目にしたら、見方が180度変わりました。ああ、これは問題なんだ。
*갑을관계(カブルグァンゲ)… 強者と弱者の関係のこと。

 

− 感情労働に苦しんでいるんですね。

ホン= はい。私たちと変わらない労働者なのに、会社で笑うことだけさせられるなんて、本当にできないことじゃないですか。

イ= 私ならとっくに退社していました。

ホン= でもこの方々はやっています。それもあまりにも幼い年で。無条件に明るくなければならないし、過剰に挨拶しなければならないし、こんな事が職業意識で呼ばれるとなるとちょっとおかしいじゃないですか。アイドルだからといって、撮影現場で笑い続けることはできません。合間合間に他の考えをすることもあり、無表情になることもあります。このような部分は編集する時に切り取れば良いんです。良い内容でも出演者が態度論争の当事者になりうる余地があればカットします。編集者が自分のことではないと大雑把に放送したら、悪口を言われるのはアイドルじゃないですか。どんなに悔しいでしょうか。

 

− “隠れて聴く名曲”シリーズが人気を集めるにつれ、既存の放送局が<文明特急>の素材を借用したコンテンツを発表し始めました。 MBCの映画紹介番組<出発!ビデオ旅行>には“隠れて見る名画”というコーナーが設けられ、Mnetバラエティ<TMIニュース>は“隠れて聴く名曲”をテーマにした番組の放送をエクスポートしました。一部のネットユーザーは、放送局がニューメディアコンテンツをコピーしたと批判しましたが、お二人はどうお考えですか。

ホン= 公式的に立場を表明するようになるのではと慎重になっています。<文明特急>をきっかけに、他の番組で“隠れて聴く名曲”が話題になることは、「本気で努力したが、日の目を見ることのできなかったコンテンツを引き上げよう」という企画趣旨の通りです。番組に出演した方たちがうまくいけば私たちも嬉しいです。最善を尽くしてコンテンツを作り、私たちの役割はそこで終わりだと思っています。

イ= 空の下に新しいものはないと言うじゃないですか。私たちもインターネットの“ミーム”を使ってきて、素材として使ったのですから。相扶相助*のことです。

*상부상조(サンブサンジョ)… 韓国の四字熟語で「持ちつ持たれつ」の意味。

 

 “人生を変えなくても働ける制作環境を作りたいです”

● 「ティッシュインターン*」がニューメディア産業の錐(キリ)になる

*티슈인턴…ティッシュのように捨てられることから、短期的・臨時的な仕事のことを「ティッシュインターン」と言う。

2人のプロデューサーは2015年に<SUBUSU NEWS>第2期インターンとしてSBS報道局ニューメディア部に入社した。特定の職業を目標にしたわけではなかった。就職の一歩手前で数え切れないほど挫折し、今すぐにでも就職口が必要だった。当時の採用公告によると、勤務期間は6ヵ月、週5日1日7時間勤務、日当は4万5000ウォンだった。一度使われ、捨てられるという意味の「ティッシュインターン」だった。イPDはカードニュースを作るストーリーテラー、ホンPDは映像編集のインターンとして出発した。

6ヶ月のインターン生活が終わると、肩書きが常勤フリーランスの「エディター」に変わった。月給が200万ウォンに及ばないほどの水準に上がった。SUBUSU NEWSが2018年1月にニューメディア部門のサービスを統合・担当する子会社SBSデジタルニュースラボとして独立し、二人も子会社所属の正社員となった。ニューメディア産業も、<文明特急>も急成長したが、彼らは給料をもらう会社員だ。イPDのニックネーム「ヨンバニン(芸能人+一般人)」には芸能人並みのスケジュールを消化しながらも会社員の給料をもらう現実も込められている。

 

− イPDは、「就活(就職活動)」の最初の学期に履歴書だけで50枚以上を書いたと言いました。2人ともSBSに入社した後もしばらく就活を並行しなければなりませんでした。フリーランサーの身で求職活動をするのは簡単ではなかったはずですが。

イ= 就活生みんながそうだと思います。大変な時期でした。特に面接で落ちるということは基準が明確ではないですよね。落ちたら、自分が何を間違っているのか、あちこち探すことになります。自分のせいというより、外部の環境によるものが大きいはずなのに、しきりに自分から原因を探ろうとしてきました。本当に終わりがないトンネルのようでしたが、 チョンボ*したので仕事ができました。 「尊重(チョンジュン)し耐える(ポティダ)」と書いてください(笑)

*존버(チョンボ)… 존나게 버티다の略で、「ものすごく根気強く耐える」という意味。

ホン= 仕事の空白はなかったのですが、定着するところが必要だったようです。そうしているうちに「私はどうして定着しなければならないのか?」と思いながら、就職準備をやめました。まず、<文明特急>に出会ったことが大きかったです。会社ではなく、この番組に巣をかけたと言いましょうか。現在、会社のビジョンと自分がしたいことの方向性が合う状態なのでここで働いていますが、自分の可能性を会社の中だけに置きたくはありません。

 

薄給な労働構造が蔓延
10-20の若い子たちに
業界の長所だけ見えそうで
待遇問題を地道に指摘

− お2人は地道にチームの処遇問題を指摘し続けています。正社員になった後もです。会社員の立場では簡単なことではないのに、引き続き言及する理由があるのですか。

イ= 深刻ですから。正社員になりましたが、何者でもなかった「放浪者」就活生期間が長かったのです。人間のずるいところは非正規職だった時と今は気持ちが少し違います。自分でも驚きます。 正社員になる前は「やりたいようにやってやれ」という気持ちで臨んだからです。今はもっと慎重になりました。しかし、ニューメディア業界は依然として不安定で、安月給の労働構造が蔓延しています。私が言ったからといって今すぐ変わることはないけれど、一言でも言ってみるんです。あ、理由がまだあります。私を見て、この業界に入りたいという後輩たちを見て、「私が間違っているのかな」と思いました。どんな分野でも一長一短ありますが、若い子たちがあまりにもニューメディア産業の長所だけを見ているのではないだろうか。誰もが処遇改善のため努力していますが、不安定な労働構造を支えているのが現実です。私の断面だけを見て、業界に簡単に心を置くのは、考え直してほしいということを知らせたかったんです。

ホン= すべてのマスコミ、メディア産業が、若い人たちの労働力で回っていると思います。それでも私たちはニューメディアじゃないですか。「ニュー」が重要だと思います。肯定的に見れば、すべての積弊と差別的な労働構造を覆して、新しく出発できる空間です。この業界では一番先輩が私かジェジェです。先例がないんですよ。人を入れ替えずに働けるシステムを作ることにおいては、学ぶ先輩がおらず、組織がありません。そのため、今までではなくこれからが更に重要なんです。私たちもう一度始めたいです。ニューメディア製作システムは、既存の放送とは明確に違います。すぐには難しいですが、必ずやり遂げたいです。

− 切実さが感じられますね。

イ= 本当にどういうわけか堪えていたらここまで来ました。ミンギのような編集者は後の作業でこぼれる努力がものすごいです。本当に休めません。この場では素敵なジャケットを着て笑いながら話をしますが、人間らしさもなく生きています。椎間板ヘルニアともずっと一緒に生活していますよ。90年代生まれの特徴の1つが不平不満を言いながら与えられた仕事をとても誠実にやりこなしたのが問題だと言うでしょう。私たちがそのように生きてきたし、そのように働く後輩たちをたくさん見てきたため、残念な気持ちをさらに話すようになりました。

− その通りです。映画<リトルフォレスト>に憧れていますが、現実には<セッション>のように自らをむち打って生きている人々が多いです。

イ= 会社の文句を言いながらも、手はキーボードに向かっています(笑)

 

後輩と関係を結ぶ方法?
必要なものが見えたら
話す前に買ってきてください
「関心があるんだな」と感じられるように

− インターンの後輩たちに対する5つの原則について言及しています。1つ目、勤務時間外の連絡禁止。2つ目、モニターの表示禁止。3つ目、夕食のおごり禁止。4つ目、服の評価禁止。最後が鉄壁(固いガード)作り禁止です。鉄壁を作らない方法は感覚がよく掴めません。後輩との関係を結ぶ、鉄壁を崩す方法は何でしょうか。

ホン= お金を使うことです。コーヒーが必要そうだと思ったら黙ってコーヒーを買ってあげるんです。イヤホンがちょっと古く見えたら「イヤホンを変えてください」と言う前にイヤホンを買ってください。表現はしないけれど、私に関心があるんだなと感じるしかないでしょう。

イ= そうです。口を閉ざして財布を開けてください。

 

<文明特急>は10月2、3日にSBS TVの秋夕特集を組まれた。初の地上波放送だ。“スムドゥンミョン”に召喚された歌手たちと一緒に<隠れて聴く名曲コンサート>が開かれる。同時間帯の競争作がMBCの看板芸能<私は一人で暮らす>だ。

− TV編成の知らせを聞いてどうでしたか。

イ= 6月に秋夕特集編成のニュースを聞きました。TVの編成は、これまでずっと要求してきたものなので、驚いたりすごく嬉しかったりではなく、「やっとか」という感情が大きかったですね。

ホン= そうです。それでも嬉しいことは嬉しいことです。<人気歌謡>の装備とセットを借りて使いながら、私たちは大手企業の系列会社なのかと思いました(笑)

 

− 大きな山を一つ越えた気分でしょうが、<文明特急>チームの長期的な目標は何ですか。

ホン= 私たち2人の共通点は遠い目標を立てていないということです。<文明特急>も毎回6ヶ月後に廃止しようと言っていたんです。3ヵ月ずつ生き延びています。本当にやりたいことがあれば3ヵ月だけやってみて、それでもだめならきっぱり諦めます。

イ= そうです。3ヵ月が終わりのように。それで終わりだという覚悟でいつも臨むこともあります。

− <文明特急>がある日、突然終わるかもしれないという話に聞こえますが。

ホン= そうです。見ていただけなくなったら終わらせないと。

イ= ニューメディア業界は、あっという間に変わってしまうでしょう。ある意味、3ヵ月間持ちこたえることも本当にすごいですよ。

 

− お2人を「ロールモデル」にしている子に話したいことは。

イ= 私にはロールモデルがいませんでした。ニューメディア市場が浮上したばかりで、私のロールもこれまでになかったロールですから。10代の子が私を将来の夢に挙げるということを知って衝撃を受けました。誰かのロールモデルになりたくないです。ああいう生き方をする人もいるんだなと、軽く見てもらえればと思います。一つの願いがあるとしたら、赤いショートカットや非婚式が選択で尊重され、これ以上話題にならない日が来るということです。

ホン= 私の人生の哲学は「助言しないこと」です。今まで私に助言してくださった方たちのほとんどがこの仕事を辞めなさいと言いました。あまりにも大変そうに見えるので私のために言った言葉でした。とてもありがたい助言でしたが、その言葉を聞いてその時に辞めていたら後悔したと思います。悩みを聞いた時、共感することだけした方が良いと思います。助言の代わりに、お金でおいしいものはどうですか。「1人式」です。ただ、誰かに助言されても、必ずしもその通りにする必要はないということは伝えたいですね。